クローン病の診断と食事療法

 

クローン病の診断についてですが、基本的には臨床像、消化管像(内視鏡の所見や消化管造影の所見)、病理所見によって診断されます。特定疾患なので、公費助成適応のために旧厚生省クローン病診断基準が多く用いられているようです。

 

検査としては検体検査、内視鏡検査、造影検査、CT・MRI検査などが行われます。治療については残念ながら根治することはありません。現在は寛解状態への導入と維持というのが治療目標です。

 

寛解(かんかい)状態というのは、症状が落ち着いて安定した状態のことで、症状が一時的に軽くなったり、消えたりした状態も含まれます。

 

どのような治療法があるのかということになりますが、内科治療(栄養療法、薬物療法など)と外科治療に分かれます。基本的には内科治療が主体となるのですが、合併症(腸閉塞、穿孔、膿瘍など)がある場合にはどうしても外科治療も必要になってきます。

 

まずは「栄養療法・食事療法」です。これは栄養状態の改善もそうですが、腸管を安静させること、食事からの刺激をできるだけ取り除くことで、腹痛、下痢などの症状改善や消化管病変の改善を図ります。栄養療法にも「経腸栄養」と「完全中心静脈栄養」があります。

 

経腸栄養という療法は、抗原性を示さないアミノ酸が主体となり、脂肪がわずかの成分栄養剤、少量のタンパク質などを使います。完全中心静脈栄養療法の方は、高度な狭窄、広範囲な小腸病変がある場合となります。